カズオ・イシグロ 『わたしを離さないで』
わたしを離さないで わたしを離さないで
カズオ イシグロ (2006/04/22)
早川書房
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★★★★☆
追憶の作家、カズオ・イシグロ。
『日の名残り』は私が読んだ本の中で
1、2を争う傑作だと思うのですが、
本作も『日の名残り』と同様に
語り手の現在と回想を交互に描くという構成になっております。
へールシャムという施設で育ったキャシーは
現在は優秀な介護人として働いている。
かつての友人、トミーとルースもまた
彼女の介護を受けることになるが・・・。
へールシャムという施設の特異さ、
その存在の目的が徐々にあかされ、
つきつけられる真実。
小説を読んだという圧倒的な質量感を感じることができました。

以下ネタバレです↓(読まれる方は反転させて下さいまし)
臓器提供の為に作られた彼らにとって、
提供の機会のないまま時間が過ぎるということは
存在価値に対する疑問であったり、
または執行を待つ死刑囚の絶望を感じたりするだろうに
キャシーはただ淡々と日々をこなし、
介護人としての充足を得ている。
それはあまりにも痛ましい。
マダムの展示館の真実が明らかになるとき、
現実が重くのしかかってきます。
倫理観をこんな形で表現できるのは
きっとカズオ・イシグロ以外にはいないでしょう。

充足の読書時間を過ごすことができました。

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【2006/11/20 00:01 】 | 外文 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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