つれづれに読んだ本の内容をご紹介していければなぁと思っております。ミステリーに偏りがちかもしれませぬ。目標は毎日更新です。あくまで目標ですが・・・。
★★★★☆ 追憶の作家、カズオ・イシグロ。 『日の名残り』は私が読んだ本の中で 1、2を争う傑作だと思うのですが、 本作も『日の名残り』と同様に 語り手の現在と回想を交互に描くという構成になっております。 へールシャムという施設で育ったキャシーは 現在は優秀な介護人として働いている。 かつての友人、トミーとルースもまた 彼女の介護を受けることになるが・・・。 へールシャムという施設の特異さ、 その存在の目的が徐々にあかされ、 つきつけられる真実。 小説を読んだという圧倒的な質量感を感じることができました。 以下ネタバレです↓(読まれる方は反転させて下さいまし) 臓器提供の為に作られた彼らにとって、 提供の機会のないまま時間が過ぎるということは 存在価値に対する疑問であったり、 または執行を待つ死刑囚の絶望を感じたりするだろうに キャシーはただ淡々と日々をこなし、 介護人としての充足を得ている。 それはあまりにも痛ましい。 マダムの展示館の真実が明らかになるとき、 現実が重くのしかかってきます。 倫理観をこんな形で表現できるのは きっとカズオ・イシグロ以外にはいないでしょう。 充足の読書時間を過ごすことができました。 |
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